1つ目は「大人の顔」だ。子どもの顔と大人の顔を比較すると、子どもほど縦に短く、成長するにつれて長くなる。縦に長いほうが大人
っぽい印象になるのだが、堺雅人は成人男子としては理想的な面長で、責任感や論理性のある「大人度」が高い顔をしている。3話までの平
均も21.0%で、平均視聴率でも『あまちゃん』と首位争いを繰り広げる勢いだ。さまざまな角度からこの異例ともいえる快進撃の理由が分
析されているが、堺雅人の顔相から3つの理由が浮かんだ。“間違ったことがあれば、たとえ上司であろうと態度を曲げない融資課長”役は
輪郭の形は卵形で、パーツの配置は平均型。この組み合わせは美形で整っている分、個性が見えにくく、「印象に残らない」デメリッ
トにもなることもあるが、バランスがよくて、見る人に安心感を与える顔だ。つまり堺雅人の顔は、信頼と安心ができる大人の顔で、大人
が安心して見られる顔。だから「このドラマは間違いない」と安心して見ることができ、特に大人世代から高い支持を得ているのではない
だろうか。髪型も分け目をキッチリ分けない「七三分け」で、髪を下ろしながらも額が半分以上見えている標準的なもので、もっとも安心
感があり、誠実感のあるスタイル。半沢直樹が、上戸彩演じる妻の半沢花の前だけで見せる顔。仕事での厳しい顔と家庭でのかわいい顔の
ギャップが魅力的で、これが、女性、特に主婦層から支持されているに違いない。
本来、表情を伝えるのに有効な眉や口で演技をせず、目だけで感情を演じている。2つ目は「仕事の顔と家庭の顔の使い分け」だ。仕事
中は、表情を変えることをほとんどしない。目に力が入っているのではなく、意識的に目に力を入れていて、緊張感のある「キメ顔」を作
っている。それが、家庭に帰ると、目尻が下がって頬がゆるんだ優しい顔になる。