DVD-BOX 完全版

　北欧はメタルも盛んだから、僕も何度かライブに行きました。ファンが細かいところまで聴くのも日本と似ているかも。寒い国だからみんな家で音楽を楽しんでいます。BONNIE PINKの『鐘を鳴らして』も、バックには北欧のミュージシャンが起用されてます。ノリ的には60年代後半～70年代前半のクラシックロックの魂が感じられる曲なんだけど、注目してほしいのは楽器の音色だね。こういう昔のロックっぽい曲って、楽器の音色まで昔のまま再現しようとすると、古臭いサウンドになりがちなんだよ。きれいなメロディーが好きで、カラオケで歌うことが大好きな日本人の音楽観ともすごく近い気がします。ガッキーこと新垣結衣ちゃんの『Make my day』は、映画の主題歌だった『水曜どうでしょう 新作 2013』のJ-POP王道路線から一転、最近のアメリカのガールズポップみたいなノリがご機嫌な曲です。この曲を聴いて、僕が一番最初に気づいたのは、メインのギターのリフがKISSとかエアロスミスとか、70年代アメリカの典型的なロックンロールのリフになっている！ということでした。

　　全体的には洋楽っぽいノリの曲だけど、ここにもやっぱり、J-POPならではのお約束が入ってました。具体的に言うと、Ｄメロの後のオチサビで使われているコード進行です。でも、この曲は楽器の音色を“ちょっとだけ”ローファイなサウンドにすることで、レトロっぽい雰囲気を出しつつメインの聴かせどころはあくまで歌メロっていうアレンジになってる。だから、今のリスナーの耳にも違和感ないサウンドに仕上がってます。これって歴代のJ-POPソングに百万回くらい使われてる“超定番”のコード進行なんだよね。北欧ポップのさわやかサウンドをベースにしながら、ツボの部分ではちゃんとJ-POPの基本も抑えて安心させてくれるところに、BONNIE PINKの人気の秘密を見た気がしました。最近のJ-POPだと、Superflyも同じような音作りで成功してるよね。ゲームソフト『テイルズ オブ ヴェスペリア』テーマ曲。